おむつ交換や清潔ケアでお腹が張ったらどうしよう…
妊娠中でもできる業務はあるのかな。
助けがほしいときに、同僚にどのように伝えたらいいのかな…
嬉しい反面、病棟看護師として働いていると不安要素がたくさん出てきます。
素直に喜んでばかりいられないのも事実ですよね。
わたしも病棟勤務しているときの妊娠を経験しています。
初めはおなじように悩みました…
しかし病棟看護師が妊娠中にもできる仕事があるとわかり、同僚の協力も得ながら病棟看護師を続けることができました。
この記事では、こんなことが分かります。
・妊娠中でも継続できる業務と避けるべき業務の具体的例
・避けるべき業務を上手に同僚に依頼する方法
これを実践するには、
1、できない業務を知る
・力仕事
・放射線被爆の危険のある業務
・臭気のある業務
・夜勤
その上で
2、できる業務を引き受ける代わりにできないことを依頼する
具体的声かけ方法は本文へ◎
しかし、怖い先輩への依頼はなかなか難しいものですよね…
この記事では今まさに悩んでいる病棟の妊婦さんが、明日からでも実践できるように超具体的にお伝えします。
妊娠中にできる業務
座ったままできる or 立っているが力を要さない
点滴交換、マウスケア、吸引、ひげ剃り、爪切り、洗髪、採血、末梢確保、検査の移送、配膳、下膳、食事介助、検温、リーダー業務、記録業務
妊娠していても可能な業務はこんなにたくさんあります。
しかし妊娠中の体調には個人差や時期によっての差が大きいです。
- 立ち仕事ではお腹が張る
- お腹が大きくなるとしゃがむ姿勢が辛い
大変な場合は、迷わず周りの助けを依頼しましょう。
立ち仕事を座ってすることで負担軽減
例えば、ベッド上での洗髪、足浴、手浴といったケア。
普通であれば立ったまま実施することが多いと思いますが、椅子に座って実施する方法もあります。
例えば、ベッド上での洗髪。
ヘッドボードを外して患者さんの頭側で座って介助すると介助者の負担が軽減できます。
妊娠後に避けた方がいい業務
力仕事
力仕事は腹圧がかかるので、子宮が収縮して切迫流産の可能性があります。
力仕事でなくても、立っている時間が長いだけでお腹が張ることもあります。
たとえ業務の途中でも、「すいません、お腹が張ってきたので少し休んでもいいですか。」と申し出ましょう。
急に気分が悪くなった場合は、一時的にその場にしゃがみこむといった転倒予防の対策も必要です。
放射線被爆のリスクのある業務
妊娠に気づかずすでに放射線を扱う業務に入ってしまった…
知らずにレントゲンを取ってしまった…
まず伝えたいことは、こういった場合にも胎児に影響のある線量になることはまずないので、思い詰めないで欲しいということです。
具体的に数値を確認していきます。
環境省 確定的影響と時期特異性では0.1Gy以上、すなわち100mGy以上で影響があるとしています。
日本産婦人科医会 放射線被爆と先天異常でも100mGyをしきい値としています。
次に、診断で受ける放射線量を見ていきます。
環境省 診断で受ける放射線量によると、どの検査も影響があるといわれる100mGyを大きく下回っています。
またこの数値は検査を受ける患者さんに影響のある数値のため、プロテクターを付けている看護師はさらに数値は低くなります。
わたしは消化管造影検査の介助に入ることがあります。
長くて約30分で線量計の値は数mSv程です。
10mSvを超えた事はありません。
大切なことは、妊娠が分かった時点で早めに上司へ報告し、これ以上の放射線被爆を防ぐ事です。
積み重なれば胎児に影響の出る被爆線量になる可能性があります。
また、妊娠の有無に関わらず日頃からの心がけも大切です。
・放射線業務に関わる場合は線量計やプロテクターを必ず付ける。
・介助に付く場合は、不必要に術野に近づいたり手を入れたりしない。
特にICUや循環器病棟・消化器病棟では、カテーテル検査や処置を実施することも多いので意識しましょう。
臭気のある処置
とくにつわりの時期は、匂いに敏感になり清潔・排泄ケアや褥瘡の処置が辛くなります。
しかし初期は周りに言いづらいし、気づいてもらえないし…
どうしたらいいのかな…
勇気がいりますが、早めに妊娠報告をして自身の体調に異変があれば自ら申し出ましょう。
早い段階での報告の必要性や、具体的な声の掛け方はこちらの記事を参考にして下さい。
人によってはこのような対策でのりきった!という場合もあります。
・ガムや飴をなめて対策していた
・つわりの軽い時間帯のみ、体調次第で実施していた
とはいえ、つわりは本当に個人差が大きいので無理は禁物です。
辛い場合は、かかりつけの医師に診断書を書いてもらい休職することもできます。
妊娠中避けるべき処置をトラブルなく変わってもらう伝え方
避けるべき処置は分かったけれど、いかに悪い印象を与えずにそれらを依頼するかが難しいのよね…
みんな忙しくしている病棟内で自分のお願い事をするのは勇気がいるものです。
でも、こんな伝え方だと周りも快くサポートしてくれるでしょう。
以下に例文と、解説を紹介します。
(〜サポートの先輩へ全体の申し送り後話しかける設定〜)
お忙しい所すみません、今日はよろしくお願いします。
妊娠中で色々とご迷惑をかけることがあるかもしれません。すみません。
〜お互いの患者さんについて情報共有の後〜
実は先生から少し切迫気味なので力仕事は控えるように言われていて…
本当にすみません。
沢山迷惑かけてしまうので、代わりに○○先輩の処置で代われることがあったら代わります。
血糖測定やマウスケア、○○などありますか。
例文を解説します。
勤務が始まる前に伝えておく
大切なのは、助けてもらえる環境を早い段階で自分で作ること。
急に依頼する状況ももちろんありますが、あらかじめ分かっていることがあると周りもフォローしやすいです。
フォローをお願いする場合は、ペアとなって勤務する看護師がいる場合はその看護師がいいでしょう。
ペアが話しかけにくい先輩だったときや、ペアの看護師がいない場合はどうしたらいいかな…
その場合は信頼できる同僚誰でもいいので声をかけてみましょう。
同期や経験年数の近い先輩や後輩だと、関係性も良く依頼しやすいかもしれません。
以下のポイントをふまえて伝えましょう
・妊娠中で出来る業務が限られること
・出来る業務はあるのでその業務を代わりに行いたいこと
(できること、できないこと共に具体的に挙げる)
・謝罪・感謝の気持ち
「病院の先生から…」と伝える
自分からのお願いだと、残念ながら人によっては「それくらい大丈夫でしょ」と感じてしまう人もいます…
医師の指示だと説得力があり、周りの協力を得やすくなります。
しかしあくまでも低姿勢で、感謝の気持ちを持ってお願いしましょう。
感謝・謝罪の気持ち伝える
助けてくれる周りのスタッフへ、ありがとう、すみませんの気持ちを言葉で伝えます。
時には心ない一言を聞くことがあるかもしれませんが、この言葉を忘れずにいれば、ほとんどのスタッフはあなたの味方をしてくれます。
しかし妊娠中でできる業務が限られる事に後ろめたさを感じる必要はありません。
産後落ち着いたらまた恩返しをしよう。という気持ちで仕事ができるといいですね。
妊娠中にも仕事内容に変化がなかったら退職の検討も
妊娠中に病棟看護師ができることは沢山あります。
でもこれは周りの協力があってこそ。
この記事のような方法で伝えても協力が得られない場合や、辛い思いをする場合は休職や退職を検討しましょう。
看護師は引く手数多なので出産後子どもが小さくても働ける所は沢山あります。
お仕事はいつでも復帰できます。お腹の赤ちゃんを守ることが第一です。